夏の日差しはあたしの白すぎる肌をジリジリと焦がす。だから外になんて出たくないのだ。あたしはずっと死ぬまでずっとあなたの傍だけに存在していたい。












「いや」

「いやだ」
「わかってください」
「できない」
「あなたのためです」
「違う」
「ここに居ては危険だ」
「知らないそんなの」
「・・・あなたのためです」
「だったら、こんなことがあたしのためなんだったら、あたしのことなんか考えなくていいよ」

「どうして」
「わかってください」
「わからないッ・・・あたしあなたがいなきゃ意味がないんだよ」
「わかってください」
「どうして、そんなこと言うの」




俯いたあたしに竜崎の表情は見えない。馬鹿じゃないのだろうか。竜崎はあたしに死ねと言うのか。竜崎が手を差し伸べたくせに竜崎は手放すつもりなのか。こんなにも弱いあたしを世界に野放しにする気なのか。竜崎があたしの世界なのに、なのにそれをあなたが奪うのか。世界を失って、あたしの居場所はあると思っているのか。生きる意味を取り上げて、どうやって生きろというのだ。あたしはただ竜崎の傍で、あたしの世界で静かに暮らしていけたらそれ以上なんてなにも望まないのに。それだけで生きれるのだ。竜崎の傍にいるだけであたしは世界を生きていくことができる。それでも竜崎から渡される何処かの部屋の鍵を受け取ることしかできないのは、あたしの世界は竜崎で、あたしの全てが竜崎だから。
















感情もなくただ冷たいだけの鍵はまるで今のあたしだ。あたしはもう生きられない。夏の暑さに溶けてしまえばいいのに。あたしという存在が失せるぐらいドロドロに。そうして綺麗なお水で流して頂戴。そうしたら、ばいばいだね、あたし。さようならだいすきなひと。



(結局あなたを離してしまったのは、鍵を握っているこの手なのだ)